サイケモンの日記

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【第4章】An Introduction to Molecular Evolution and Phylogenetics -By Lindell Bromham- 内容

分子生物学の教科書(Oxford出版 An Introduction to Molecular Evolution and Phylogenetics -By Lindell Bromham-)の第4章 Replicationの章の内容のメモです。

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複製の過程において突然変異が発生する。その確率は100万分の1といわれている。

親世代から子世代へ新しく発生する突然変異の数は圧倒的に父親において発生したものが多い。というのは、精子の形成が突然変異を蓄積しやすいことや、精子は膨大な量形成されるから。

遺伝情報を複製する仕組み

DNAの相補的な性質によって保たれている。(ヌクレオチドの相補性、2重螺旋構造(DNAは右螺旋))
ポリメラーゼにより、相補鎖が合成される。ポリメラーゼは5’→3’の方向に合成され、この方向が複製フォークの進行方向と同じ鎖の方をリーディング鎖といい、反対の鎖をラギング鎖という。ラギング鎖の方では岡崎フラグメントが形成される。

DNA複製

ポリメラーゼを右手を握る形で模すと。
ポリメラーゼサイト→右手を握った時親指の内側の部分
エキソヌクレアーゼサイト→右手を握った時人差し指の外側の部分

エラー判別、除去手段は3つ

①ベース選択
ポリメラーゼに対して、正しい形の鎖が入ってくる。100万分の1で、この過程が進んでしまう。入ってくるヌクレオチド鎖の形が右手で握れるような形だった場合に、複製が進む。

 

プルーフリーディング校正
ポリメラーゼの伸長。誤った塩基のペアがポリメラーゼサイトで合成された場合、DNA鎖がゆがむ→この構造がエキソヌクレアーゼサイトに翻る形で到達する。→間違った塩基を持ったヌクレオチドが除去される。この機構を持たない。

 

③ミスマッチ修復
複製が終わった後、間違った塩基が入れ込まれている部分はゆがみが発生している。鋳型鎖にはシトシンのメチル化が起こっている、そのため、シトシンが修飾されていない鎖の方を修正する。(ただ、メチル化の機構を持って異様な生物もいるようだが、その生物ではどのように行っているのだろうか。)ミスマッチ修復酵素は、その間違いを見つけたとき、その周辺の塩基を含むヌクレオチド数個を切り取り、修復する。

DNA増幅

DNAを酵素や試薬を混ぜて増幅しているが、自然の機構を利用している。

PCR(polymerase chain reaction)

増やしたい領域の近くの塩基を知っている/予測できる場合、増幅することが出来る。
ランダムなプライマーを大量に作り、DNA配列のランダムな位置にプライマーを付けて増幅することで、全ゲノム増幅が可能。

DNA螺旋は、高温下においてdenatureされる。また、冷やされるとアニーリングする。
この過程は、水槽などでストップウォッチを用いていた。→サーマルサイクラーへ

Taqポリメラーゼの発明

温度を上げるごとにポリメラーゼの活性が失われていたが、Taqにより解消。
サーマルサイクリングの
極限環境生物のポリメラーゼに注目した。サーモフィラスアクアティカスというバクテリアのポリメラーゼが、Taqポリメラーゼとして用いられている。2000以下の塩基 校正の機構を持たないため10分の1~20分の1ほどのエラー率。校正の機構を持っているものもある。

コンタミネーション

衛生の環境、プライマーのより精緻な設計、結果として出てくる配列について精査する。
前後の実験からの混入が多くある。ブランクコントロールコンタミ防止に有効。

複製エラーは階層を形成する

全ての生物は、遺伝物質複製システムを持っている必要がある。ポリメラーゼはその一つ。しかし、RNAポリメラーゼⅡβサブユニットにおいて、各生物における配列には違いがある。ドメイン7は他のドメインと共同して、かすがいの様にDNA鎖と酵素を固定する機能を持る。このドメインの最も重要と考えられる部分は、生物の系統関係が離れていても同じ塩基となっている。
変化構造の入れ子構造が表すのは、進化の系統関係の近さ/遠さである。

例:スレオニルtRNA合成酵素の類似度(%)
ヒトとラット→96
ショウジョウバエ75
真菌56
イネ55
大腸菌50%未満

桿菌(バチルス)の系統関係

炭疽菌→皮膚の切れ目から入ると、黒い潰瘍を引き起こす。→これがはいで同じようなことを起こすと生死にかかわる。→バイオテロに用いられる可能性があるため、菌が炭疽菌かそれ以外なのかを調べることはとても重要。

SNP(1塩基多型)、VNTRs(繰り返し多型)

系統関係だけでなく、どの地域由来の金ナノかを特定することが、以上の多型を調べることで出来る。例)フォートデトリックから持ち出された炭疽菌が、バイオテロに使用されたということを特定した。

カンタベリー物語
文芸と、進化生物学の専門家が共同して研究した。The life of birth の中の850の物語について研究。スペル、句読点などから分類し、原典と思われる文章を研究。変化に関して入れ子構造の階層構造をとった。)

コンクルージョン

・自然界におけるDNA複製エラーにより、様々な情報が与えられる。ある生物がたどってきた歴史を調べることが出来る。ほかの生物との比較によって、たどってきた歴史を再構成することが出来る。
・界と界の大きな関係や、種の系統同士の小さな関係を調べることもできる。

DNAの複製

1. Melt …2本鎖の分離
2. Unwind…トポイソメラーゼがDNAが分かれるときに超螺旋やねじれを解消する
3. Prime and Grow…プライマーゼは短いRNA鎖を作り、RNAプライマーとして働くため、複製を開始することが出来る。そこで、複製が、複製フォークと逆方向に進んでいくが、ループすることで、短所的に複製をすることが出来る。この一部分的な複製の開始には常にプライマーゼによるRNAプライマーにより開始し、岡崎フラグメントが形成され、RNAプライマーが除去されたのち、リガーゼにより跡切れの無い鎖が形成される。

DNAの増幅

プライマー…オリゴヌクレオチド
ヌクレオチド…デオキシヌクレオチド(dNTP)リン酸+糖+塩基
ポリメラーゼ…いがたさを基にDNAを複製する
マグネシウムイオン…ポリメラーゼの機能に必要な補酵素
バッファー

1. Melt (denature)
加熱において水素結合を解いているため、DNAの複製過程におけるUnwindの工程はいらない。
2 . Prime (anneal)
18 ~32の適切なプライマーが必要
3 . Grow (elongate)
Taq Pfu Pwoといったプライマーがある。
Pwoはプルーフリーディングの機能を持つ
4 . Melt again (denature)
リピートは大隊30サイクル程。

ケーススタディ

背の高い植物は、より低い分子進化の割合を持つ。
樹木は高度な遺伝多様性を持っているがが、低い分子進化率なのはなぜ。

複製を繰り返すほど、エラーが発生する。世代が短い程短い期間でエラーが蓄積する。
花を作る植物は、生殖細胞の系譜は体細胞からである。
背の高い植物と背の低い植物はどちらが早く分子進化をするのか。
回帰分析の結果、背の低い商物は核の分裂回数が多く、変位が蓄積しやすい

ウォーレス線→この線の東と西で生物相が全然違う