優しい気持ちの記憶
優しい気持ちに触れた思い出があるのは幸せなことだ。
誰かの通夜、妹がポットのお湯で足をやけどをした。近くの病院へ急いで連れて行ったところ、肌の移植手術が必要となった。おじいちゃんのお尻の皮膚を、妹の足の甲に移すことになった。
ヒステリックに怒り出したり、騒ぎ立てるような人は居なかったように思う。それは、私自身が妹の身を案じていてそれどころでは無かったからなのかもしれないが、妹を抱えて走る親、皮膚を提供する祖父、出てくる登場人物全てが美しかった。ついでにいうと、妹は保育園の年中さん位の小ささで、天パで真っ黒な髪の毛で、頬がぷっくりとして、色白で、天使のような子で、喪服のワンピースに身をつつんでいてとてつもなく可愛らしかった。
大変そうだけれど優しくて美しい記憶。